スイッチングハブの選び方と使いどころを、ルーターや壁のLAN端子が1つしかなく、テレビ・ゲーム機・パソコンなど複数の機器を有線でつなぎたい方に向けて解説します。スイッチングハブは、1本のLANケーブルを複数に分けて有線の差し込み口を増やす機器です。ただし、ネットの速さそのものを上げる機器ではなく、選び方やつなぎ方を誤ると「遅い」「つながらない」の原因にもなります。東村山の一原ITシステムが、買う前に確認したい点と、置き場所・つなぎ方の注意点をまとめました。
スイッチングハブとは?ルーターとの違い
スイッチングハブは、LANケーブルの差し込み口(ポート)を増やすための機器です。ルーターのLANポートや壁のLAN端子から1本のケーブルをハブにつなぎ、残りのポートにパソコンやゲーム機、テレビなどをつなぎます。
よく混同されるのがルーターとの違いです。ルーターは家の中の機器をまとめてインターネットにつなぐ役割を持ち、各機器への住所(IPアドレス)の割り当ても担当します。スイッチングハブはその下で口数を増やすだけで、インターネットにつなぐ機能は持っていません。そのため、ハブだけを光回線の終端装置(ONU)につないでも、ルーター機能を持つ機器がその上流になければ、ふつうはネットにつながりません。家のどの機器がルーターなのか分からない場合は、ONU・ルーター・モデムの違いの記事で見分け方を確認してみてください。
「リピーターハブ」との違い
ハブには、届いたデータをすべてのポートへそのまま流す「リピーターハブ」と、宛先の機器がつながっているポートに原則として絞って届ける「スイッチングハブ」があります。バッファローのよくある質問(2022年11月更新)では、スイッチングハブはデータの渋滞が避けられ、リピーターハブよりスムーズな転送ができると説明されており、更新時点で同社が販売しているハブはすべてスイッチングハブとされています。購入するときは、パッケージや仕様に「スイッチングハブ」と書かれているかを確認すると確実です。
スイッチングハブが役立つ場面
ハブが活躍するのは、「有線でつなぎたい機器は複数あるのに、差し込み口が足りない」という場面です。代表的なものを挙げます。
▶ ルーターのLANポートが埋まっている
Wi-Fiルーターの背面にあるLANポートは数が限られています。パソコン、ゲーム機、テレビ、レコーダーなどを全部有線にしようとすると足りなくなることがあり、ハブで口数を増やせます。
▶ ルーターから離れた部屋で複数の機器を有線にしたい
ルーターのある部屋から1本だけLANケーブルを延ばし、その先にハブを置けば、テレビ台まわりのゲーム機とテレビ、書斎のパソコンとプリンターのように、1本のケーブルで複数の機器をまとめて有線化できます。部屋ごとに1本ずつ長いケーブルを引き回す必要がなくなります。
▶ 部屋のLAN端子やMoCAアダプターの差し込み口が1つしかない
壁のLAN端子が1つだけの部屋や、テレビの同軸ケーブルを使ってLANを届けるMoCAのアダプターのうちLANポートが1つの機種でも、その先にハブを置けば複数の機器を有線でつなげます。MoCAの仕組みはMoCA(テレビ線LAN)とは?で解説しています。
なお、マンションの壁のLAN端子は、建物の配線方式によって先にあるものが違います。特に建物全体でLANを配線している方式(LAN配線方式)では、壁の端子の先が共用部の設備につながっていることがあり、部屋にルーターを置くかどうかは建物ごとの案内に従う必要があります。ハブはその案内どおりの機器の後ろに置く、と考えてください。お住まいの方式はマンションのネット配線方式の違いで見分け方を確認できます。分からない場合は、管理会社や建物のネットサービスの窓口に確認するのが確実です。
スイッチングハブの選び方|買う前に見る5つのポイント
1. ポート数は「つなぐ台数+上流の1口」で考える
ハブのポートのうち1つは、ルーターや壁の端子とつなぐために使います。たとえば5ポートの製品なら、機器をつなげるのは残りの4台までです。あとから機器が増えることも多いので、いま必要な台数より少し余裕を持たせると買い直しを避けやすくなります。
2. 通信速度は「1Gbps対応」以上を選ぶ
ハブにも対応速度があり、100Mbpsまでの製品と、1Gbps(1000BASE-T、いわゆる「ギガ対応」)の製品などがあります。通信は経路の中でいちばん遅い機器に合わせて頭打ちになるため、回線やルーターが1Gbpsに対応していても、途中のハブが100Mbpsまでの製品だとそこで止まってしまいます。いま買うなら、少なくとも1Gbps対応を選んでおくのが無難です。10ギガ回線などを契約していて、ルーターやパソコンも1Gbpsを超える速度に対応している場合は、ハブもその速度に対応したものを選ばないと、ハブのところで1Gbpsに頭打ちになります。
最近は2.5Gbps(2.5GBASE-T)などに対応したハブもあります。ただし、その速さを生かせるのは、回線・ルーター・パソコンなどの側も同じ速度に対応している場合だけです。家の機器が1Gbpsまでなら、ハブだけを高速なものにしても体感は変わりません。
ケーブルも合わせて確認しましょう。バッファローのよくある質問では、1000BASE-Tで使えるケーブルはエンハンスト カテゴリ5(カテゴリ5e)以上(カテゴリ6のクロスケーブルを除く)とされています。手持ちの古いケーブルを使い回す場合は、ケーブルの表面に印字されたカテゴリを確認してください。カテゴリの選び方はLANケーブルのカテゴリーの違いと選び方で詳しく解説しています。
3. 電源の方式と置き場所
スイッチングハブは電源が必要な機器です。電源には、ACアダプターを使う外付けタイプと、本体に電源を内蔵したタイプがあります。バッファローのよくある質問では、電源が内蔵になるとスマートな配線が可能と説明されています。テレビ台の裏などコンセントまわりが混み合う場所では、アダプターの大きさも含めて置けるかを確認しておきましょう。
4. 本体の材質(金属かプラスチックか)
本体の材質も製品によって違います。同じくバッファローの説明では、メタル製は放熱性にすぐれ、プラスチック製は軽く扱いが容易とされています。熱を逃がしやすくしたいなら放熱性、机の裏などに取り付けたいなら軽さ、というように使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。なお、壁へのネジ止めは、賃貸では退去時の原状回復が問題になることがあります。
ただし、どちらの材質でも、熱がこもる場所に置いてよいわけではありません。アイ・オー・データのスイッチングハブ(ETQG-ESHシリーズ)の取扱説明書では、放熱を妨げないよう、周りに十分なスペースを空けて設置すること、他の機器の上や下に積み重ねて置かないことが案内されており、周辺に放熱を妨げるようなものを置くと発火の原因になるとして警告されています。テレビ台の奥や棚の中に置く場合も、すき間を空け、ほかの機器と重ねないようにしてください。
5. ループ検知機能があると安心
あとで説明する「ループ」というつなぎ間違いに備えて、ループ検知機能を持つ製品もあります。たとえば上記のアイ・オー・データの取扱説明書では、ループ検知機能を「入」にしている場合、ループを検知すると前面のループ検知ランプが赤く点灯し、ループしているポートのリンクランプがゆっくり点滅すると案内されています。小さなお子さんがいてケーブルを抜き差ししがちな家庭や、ハブを複数台使う家庭では、こうした機能があると原因の特定が楽になります。
このほか、ケーブルの種類(ストレート・クロス)を自動で見分ける「AUTO-MDIX」という機能もあります。バッファローのよくある質問では、更新時点で同社が販売しているハブはすべてこの機能を搭載しているとされています。
使うときの注意点|ハブで遅くなる・つながらなくなるケース
▶ ハブの先の機器は上流の1本を分け合う
ハブでポートを増やしても、ルーターまでの経路はハブにつながる1本のケーブルのままです。ハブの先にある機器が同時に大きなデータをやり取りすると、その1本を分け合うことになります。ハブで増えるのは差し込み口であって、回線の速さではない点を覚えておきましょう。家族が同時に使って遅くなる場合の考え方は複数人が同時に在宅勤務するとネットが遅いでも解説しています。
▶ ケーブルの両端を同じハブに挿す「ループ」に注意
上記のアイ・オー・データの取扱説明書では、ループとは1本のLANケーブルの両端を同じハブに接続したり、複数のハブを円環状に接続したりすることで、同じデータがネットワーク内を回り続けてしまう現象と説明されています。ループが起きると、通信速度が低下する、通信ができなくなるなど、ネットワーク全体の通信に影響が出ることがあります。余ったケーブルの先を何気なく空いているポートに挿してしまう、ハブ同士を2本のケーブルでつないでしまう、といったつなぎ方は避けてください。また、各部屋の壁のLAN端子が情報分電盤などの1か所に集められている住まいでは、その中にもハブが入っていることがあります。その場合、同じ部屋の2つの端子を両方とも1台のハブにつなぐと、壁の中を通ってループになることがあるので注意が必要です。
▶ つながらないときはランプを見る
ハブをつないだのに通信できない場合、バッファローのよくある質問では、電源(POWER)ランプ、リンク(LINK/ACT)ランプの点灯、ループが発生していないか、の順に確認するよう案内されています。電源ランプが点かないときは、電源ケーブルを挿し直し、延長コードやタコ足配線を使っている場合は壁のコンセントから直接電源をとります。リンクランプが点かないときは、まずハブにつないでいるパソコンなどの機器の電源が入っているかを確かめ、そのうえでLANケーブルの挿し直しや、挿すポートの変更、別のケーブルへの交換を試します。製品によってはランプの色で接続速度が分かるものもあるので、取扱説明書で確認してみてください。
▶ 速度が出ないときは、ハブを外して測り比べる
ハブを入れてから遅くなったと感じる場合は、パソコンをルーターに直接つないだときとハブ経由のときで、同じ条件で速度を測り比べると原因を絞り込めます。壁のLAN端子が情報分電盤などに集められている住まいでは、目に見えない分電盤の中のハブが古い100Mbpsまでの製品で、そこが上限になっていることもあります。測り方の手順はネットが遅いときの速度測定と原因の切り分けにまとめています。
ハブを置きたい部屋までLANが届いていないなら
スイッチングハブは「LANが届いている場所で口数を増やす」機器なので、そもそも使いたい部屋までLANケーブルが来ていない場合は、先にその部屋まで有線を届ける方法を考える必要があります。長いケーブルを廊下や部屋のドアの下に這わせる方法もありますが、見た目や踏みつけによる断線が気になる方も多いのではないでしょうか。
一原ITシステムでは、テレビの同軸ケーブルを使うMoCA施工で、壁に穴を開けずに離れた部屋まで有線LANを届けられる場合があります。テレビ線を使う施工は建物に傷をつけないため、賃貸物件でも大家様の許可を得ることなく導入いただけます(賃貸借契約の内容や建物の設備によっては、念のため事前にご確認いただくことをおすすめします)。届いた先にハブを置けば、テレビ台まわりの複数の機器もまとめて有線化できます。東村山市を拠点に、所沢・清瀬・東久留米など多摩・埼玉南部に対応しています。詳しくは宅内LAN施工のページ、またはトップページをご覧ください。




