テレビ端子が1か所の家で有線LANを使う方法|MoCA以外の選択肢を比較

テレビ端子が1か所しかない家で有線LANを使いたい方に向けて、MoCA以外の方法を比較しながら解説します。テレビの同軸ケーブルを使うMoCAは、壁に穴を開けずに有線LANをつくれる方法ですが、テレビ端子が1か所だけの住まいでは別の部屋へネットワークを延ばせません。とはいえ、有線化をあきらめる必要はありません。本記事では、東村山の一原ITシステムが、ケーブルを這わせる方法、エアコンの配管穴、PLC(電力線通信)、メッシュWi-Fi、壁の中への配線という5つの選択肢を、賃貸で気をつけたい点とあわせてまとめました。

テレビ端子が1か所だとMoCAが使えない理由

MoCAは、住宅にもともと通っているテレビ用の同軸ケーブルを、LANケーブルの代わりに使う技術です。ルーターのある部屋のテレビ端子にアダプターをつないで信号を入れ、別の部屋のテレビ端子に置いたもう1台のアダプターから取り出します。つまり、同軸ケーブルの「入口」と「出口」になる端子が、それぞれ使いたい部屋にそろっていることが前提です。

テレビ端子が1か所しかない住まいでは、建物の共用部や屋外から来た同軸ケーブルが、多くの場合その1か所で終わっています。家の中で別の部屋へ枝分かれした端子がなければ、MoCAで部屋どうしをつなぐことはできません。ワンルームや、テレビ端子がリビングにしかない間取りでよく見られるケースです。

ただし、家具やカーテンの裏、使っていない部屋に端子が隠れていることもあります。まずは本当に1か所なのかを確かめておくと、選択肢が広がります。確認の手順はテレビ端子で有線LANは作れる?MoCAが使えるか自分で確認する方法で、MoCAの仕組みそのものはMoCA(テレビ線LAN)とは?で解説しています。

方法を選ぶ前に整理したい3つのこと

どの方法が合うかは、住まいの間取りと、何を有線でつなぎたいかで変わります。比較に入る前に、次の3点をメモしておくと判断が早くなります。

▶ ルーターのある場所と、有線にしたい場所
ルーター(家の機器をまとめてネットにつなぐ親機)がどの部屋にあり、有線にしたいのがどの部屋のどの機器か。同じ階か、階をまたぐかでも選べる方法が変わります。

▶ 2つの場所のあいだに何があるか
ドア、廊下、階段、エアコンの配管穴など、ケーブルが通れそうな経路があるかどうか。おおよその距離もあわせて見ておきます。

▶ 持ち家か、賃貸か
建物に手を加える方法は、賃貸では大家さんや管理会社の許可が関わります。許可の考え方は後半で整理します。

MoCA以外の5つの選択肢

① LANケーブルを室内に這わせる

いちばん確実で、費用も抑えやすいのが、ルーターから使いたい場所までLANケーブルをそのまま延ばす方法です。床や壁際に沿わせ、ドアの下やすき間を通すときは、平たい形をしたフラットタイプのLANケーブルが使いやすくなります。

建物に手を加えないので、賃貸でも始めやすい方法です。一方で、ケーブルが見えること、通り道で足を引っかけやすいことが弱点になります。ドアの開け閉めで同じ場所が繰り返し挟まれたり踏まれたりすると、ケーブルが傷んで通信が不安定になることもあるため、通り道は時々確認しておくと安心です。

見た目を整えたい場合は配線モール(ケーブルを覆うカバー)が便利ですが、両面テープで貼るタイプは、はがすときに壁紙を傷めるおそれがあります。賃貸では目立たない場所で試すか、管理会社に確認してから使うようにしましょう。

② エアコンの配管穴を利用する

エアコンの室内機と室外機をつなぐ配管は、壁に開けられた穴を通っています。この穴のすき間を利用してLANケーブルを通せる場合があり、新しく穴を開けずに部屋の外へケーブルを出せるのが利点です。

ただし、配管穴は外につながっているため、雨水や虫が入らないようにすき間がふさがれています。ケーブルを通したあとは、元どおりにふさぎ直す必要があります。屋外を経由して別の部屋へ入れる場合は、屋外の区間に紫外線や雨に強いケーブルを選ぶことも大切です。屋外配線の注意点は離れ・ガレージにネットを届ける方法で詳しく触れています。屋外でケーブルを外壁にビスで留める場合や、マンションのベランダなど共用部分を通す場合は、建物に手を加えることになるため、賃貸なら大家さんや管理会社、分譲マンションなら管理組合の許可が必要になります。

配管や断熱材を傷つけるとエアコンの不具合につながりかねないので、ご自身で無理に通すより、経験のある業者に任せるほうが安全です。また、経路上の部屋にエアコンが付いていなければ、この方法は使えません。

③ PLC(電力線通信)アダプターを使う

PLCは、家の電気配線を通信に使う方法です。ルーターの近くのコンセントと、使いたい部屋のコンセントにPLCアダプターを1台ずつ差し、それぞれをLANケーブルで機器につなぎます。コンセントはたいていの部屋にあるため、テレビ端子の数に左右されないのが強みです。

一方で、通信の状態は家の電気設備に大きく左右されます。シャープのPLCアダプターのサポートページ(「ご使用の前に」「ご利用に関する注意事項」)では、次のような点が挙げられています。

  • ブレーカーなどの設備や電力線の状態によって、通信速度が落ちたり、通信できなかったりする場合がある
  • 2つのコンセントが同じ系統・同じブレーカーの回路にあるのがいちばん良い条件で、系統や回路(ブレーカー)が異なると信号が弱まりやすい
  • 電源プラグは壁のコンセントに直接差すのがおすすめで、PLCアダプター自体は雷サージ対応やノイズフィルター付きのテーブルタップには接続しない(ノイズを出しやすい家電の側には、ノイズフィルター付きのタップをすすめている)
  • ヘアードライヤーや充電器などが出す電気ノイズの影響を受けることがある
  • 短波ラジオや調光機能付きの照明などに影響を与えることがある
  • 通信方式の異なるPLC機器どうしは、相互に通信できない
  • 医療機関や医療機器の近くでは設置・使用しない(医療機器の誤動作による事故の原因となることがある)

これらはシャープ製品についての記載で、細かな条件は機種ごとに異なります。つまり、PLCは「実際に差してみないと、どのくらい通るか分からない」方法です。購入する際は2台を同じ方式・同じシリーズでそろえ、取扱説明書の設置条件や注意事項(屋内専用かどうか、医療機器の近くでの使用についてなど)を確認しておきましょう。つながっても速度が安定しないときは、差すコンセントを変えると改善することがあります。

④ メッシュWi-Fi・中継器の子機から有線でつなぐ

ケーブルを通す経路がまったくない場合は、無線で電波を届ける方法も候補になります。メッシュWi-Fiや中継器の中には、子機にLAN端子を備えた機種があり、ゲーム機やデスクトップパソコンを子機にケーブルでつなぐことができます。

ただし、ルーターと子機のあいだは無線のままです。その区間の電波が弱かったり混み合っていたりすると、子機から先を有線にしても安定性は大きく変わりません。子機の置き場所が仕上がりを左右するので、中継器とメッシュの違いを含めてWi-Fi中継器とメッシュWi-Fiの違いもあわせてご覧ください。

⑤ 壁の中に配線を新設する

持ち家で、配線を目立たせたくない場合は、壁や天井の中にLANケーブルを通し、使いたい部屋にLAN端子を設ける方法があります。見た目がすっきりし、ケーブルが端から端までつながるので安定性も期待できますが、建物に手を加える工事になります。

壁の中に配線用の空の管(空配管)が用意されている住まいなら、そこを使って通せることもあります。新築時の配線の考え方は注文住宅の宅内LAN配線計画で解説しています。賃貸では穴開けやビス止めを伴うため、原則として大家さんや管理会社の許可が必要です。分譲マンションでも、専有部分の工事に管理規約で届出や承認の手続きが定められていることがあるため、事前に管理組合へ確認しておきましょう。

5つの方法を比べると

それぞれの特徴を表にまとめました。安定性は住まいの条件で変わるため、あくまで選ぶときの目安としてご覧ください。

方法 建物への手入れ 気をつけたい点
① ケーブルを這わせる なし(モールは貼り方による) 見た目・足の引っかけ・挟み込みによる傷み
② エアコンの配管穴 既存の穴を利用 ふさぎ直し・屋外区間のケーブル選び・外壁固定や共用部分は許可・エアコンが必要
③ PLC なし 電気設備やノイズしだいで速度が変わる・医療機器の近くでは使わない
④ メッシュ・中継器 なし ルーターと子機のあいだは無線のまま
⑤ 壁の中に新設 あり(工事) 賃貸は許可、分譲は管理組合への確認が必要・費用と工期

安定性を最優先するなら、ケーブルが端から端までつながる①②⑤が有利です。経路がどうしても取れない場合に、③④を検討するという順番で考えると選びやすくなります。なお、有線にしたい機器が1つの部屋に複数あるときは、届いたLANケーブルの先にスイッチングハブをつなげば差し込み口を増やせます(スイッチングハブの選び方と使いどころ)。

賃貸で選ぶときの注意点

賃貸住宅では、退去するときに借りた人が付けた傷などを元に戻す原状回復のルールがあります。壁に穴を開ける、ビスで固定するといった方法は、事前に大家さんや管理会社の許可を取るのが基本です。

①のケーブルを這わせる方法や、③④のように機器を置くだけの方法は、建物に手を加えないため始めやすい選択肢です。ただし、両面テープで貼るモールのように、はがすときに跡が残る可能性があるものは注意が必要です。②のエアコンの配管穴は既存の穴を使う方法ですが、穴のふさぎ直しを伴うため、管理会社に一声かけておくと安心です。屋外で外壁にビスを打つ、ベランダなどの共用部分を通すといった場合は、一声ではなく許可が必要になります。どこまでが許可の要らない範囲かは、賃貸のLAN工事に大家の許可は必要?で詳しく整理しています。

東村山の一原ITシステムにご相談ください

一原ITシステムは、壁に穴を開けない宅内LAN施工を中心に、テレビ線を使うMoCA施工のほか、エアコンの配管穴を利用した配線にも対応しています。テレビ端子が1か所しかない住まいでも、間取りや配管の位置を確認したうえで、どの方法が現実的かを一緒に考えます。

「テレビ端子はリビングだけだが、2階の部屋で有線を使いたい」「PLCを試したが安定しなかった」といったご相談も歓迎です。施工の内容は宅内LAN施工サービスのページに、対応エリアと会社の情報はトップページにまとめていますので、あわせてご覧ください。

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