離れやガレージ、庭の物置までインターネットを届けたい方に向けて、母屋から屋外へネットを延ばす方法と、屋外配線が劣化する原因・対策を解説します。母屋のWi-Fiは外壁を一枚はさむだけで大きく弱まるため、置き場所を変えるだけでは届かないことがほとんどです。本記事では東村山の一原ITシステムが、屋外用LANケーブル・屋外用Wi-Fi・テレビ線を使う方法という3つの選択肢と、雨や紫外線に負けない配線のポイント、電波法上の注意点までご紹介します。
離れやガレージにWi-Fiが届かないのは「壁一枚」の差が大きい
母屋のリビングでは快適に使えているのに、数メートル離れたガレージに行くと圏外になる。離れの部屋でビデオ通話をすると音声が途切れる。こうしたご相談は、東村山市や所沢市の戸建てのお客様から特に多くいただきます。
原因はシンプルで、Wi-Fiの電波が距離よりも「障害物」で大きく減衰するためです。屋内であれば間仕切りの壁一枚ですが、離れやガレージへ届けるには、母屋の外壁と離れの外壁という厚い壁を二枚も通過しなければなりません。住宅の外壁は屋内の壁より厚く、モルタル下地の金属製ラスや金属サイディング、断熱材のアルミ箔などが入っていると、電波はさらに通りにくくなります。
2.4GHzと5GHzでは「届き方」が違う
Wi-Fiでよく使われる2.4GHz帯と5GHz帯には、はっきりした性格の違いがあります。2.4GHz帯は障害物に比較的強く遠くまで届きやすい一方、電子レンジやBluetooth機器などと電波が混み合いやすい帯域です。5GHz帯は混信が少なく速度が出やすいものの、直進性が強く、壁や床にぶつかると吸収・減衰しやすい性質があります。
つまり離れやガレージのように壁を何枚もはさむ場所では、5GHzは届かないことがほとんどです。2.4GHzで「アンテナ1本だけ立つが実用にならない」という状態になりやすく、これがガレージでスマホが不安定になる典型的なパターンです。
まず「弱いのか」「まったく無いのか」を確かめる
対策を選ぶ前に、届けたい場所で今どういう状態なのかを確認してください。目安は次の3つです。
▶ つながるが遅い・不安定
電波は届いているものの弱い状態です。中継器やメッシュWi-Fiで改善する可能性がまだあります。
▶ 接続はできるがすぐ切れる
電波の強さが不足ぎりぎりの状態です。天候や人の動きで簡単に切れるため、無線だけで安定させるのは困難です。
▶ そもそもSSIDが見えない
電波が届いていません。この場合、母屋側のルーターを買い替えても解決しないため、後述する「線を延ばす」発想への切り替えが必要です。
なお、中継器とメッシュWi-Fiの違いや選び分けについてはWi-Fi中継器とメッシュWi-Fiの違い|どちらを選ぶべきかで詳しく解説していますので、まず無線で試したい方はあわせてご覧ください。
母屋から離れ・ガレージへネットを届ける3つの方法
① 屋外用LANケーブルで有線を延ばす(もっとも確実)
母屋のルーターから屋外用のLANケーブルを引き、離れやガレージの中にWi-Fiアクセスポイント(親機をブリッジモードにしたもの)を置く方法です。距離や壁の影響をほとんど受けないため、離れでもテレワークやオンラインゲームが母屋と同じ感覚で使えます。
LANケーブルで安定して通信できるのは、機器から機器までの1区間で合計100mまでが目安です。正確には、壁の中や配管を通る固定配線が90mまで、そこから機器につなぐ短いケーブルを合わせて100mまで、という考え方になります。一般的な住宅の敷地であれば母屋から離れやガレージまでは十分この範囲に収まりますが、庭を大きく迂回する経路だと意外と距離を消費するため、余裕をみて配線ルートを事前に確認しておく必要があります。
そして重要なのが、屋外区間には必ず屋外用のLANケーブルを使うことです。屋外用ケーブルは被覆が二重構造になっているものが多く、外側に紫外線や雨に耐えられる耐候グレードの被覆を使って作られています。屋内用のケーブルをそのまま外に這わせると、比較的短期間で被覆が白く粉を吹いたようになり、ひび割れから水が入って通信が不安定になります。
② 屋外用(防水)Wi-Fiアクセスポイントを軒下に設置する
母屋の外壁や軒下まで有線を延ばし、そこに屋外設置に対応したWi-Fi機器を取り付けて、庭やガレージへ向けて電波を飛ばす方法です。ガレージだけでなく庭やウッドデッキでも使いたい、離れの中に機器を置くスペースがない、といったケースで有効です。
ただし屋外設置対応の機器は、防塵・防水性能(IPコードと呼ばれる等級で表されます)を備えた専用品を選ぶ必要があります。屋内用の機器を軒下に置いただけでは、結露や吹き込む雨で早期に故障する原因になります。また、後述するとおり屋外で使えるWi-Fiの周波数には電波法上のルールがある点にも注意が必要です。
③ 離れにテレビの同軸ケーブルが来ているならMoCAという選択肢
見落とされがちですが、離れや2世帯部分にテレビ端子がある住宅では、すでに母屋から同軸ケーブルが通っていることがあります。この場合、テレビ用の同軸ケーブルをLANの通り道として使うMoCA(モカ)という技術で、新しくケーブルを引かずにネットを届けられる可能性があります。
壁に穴を開けずに済み、屋外にケーブルを新設せずに済むため、建物を傷めたくない方に向いた方法です。仕組みやメリットはMoCA(テレビ線LAN)とは?仕組みとメリットを解説で解説しています。
なお、同軸が離れまで来ているかどうか、また途中の分配器やブースターの状態によって使えるかどうかが変わるため、実際の可否は現地で端子と配線をたどって判断することになります。
屋外に出したLANケーブルが劣化する4つの原因
屋外配線は「引いて終わり」ではありません。屋外という環境は、ケーブルにとって屋内とは比べものにならない負担がかかります。主な劣化要因は次の4つです。
▶ 紫外線
直射日光に当たり続けると被覆の樹脂が硬化し、変色やひび割れが起こります。屋内用ケーブルを屋外に出した場合、もっとも早く現れる劣化がこれです。
▶ 雨・結露
ひび割れた被覆や端子部分から水が入ると、内部の導体が腐食して通信品質が落ちます。特にケーブルの端(コネクタ部分)は水に弱いため、雨のかかる場所にむき出しで置くのは避けなければなりません。
▶ 温度変化
夏の高温と冬の低温を繰り返すことで、被覆の伸縮による負担が蓄積します。ピンと張った状態で固定していると、この伸縮が内部の芯線に直接ストレスとしてかかります。
▶ 物理的なダメージ
草刈り機での引っかけ、車のタイヤによる踏みつけ、鳥や小動物によるかじりなど、屋外ならではの事故があります。地面をそのまま這わせている配線は、これらのリスクを常に抱えることになります。
ケーブルの劣化がどんな症状として現れるか、交換の目安についてはLANケーブルの劣化・断線のサインと交換目安|遅い・切れるの原因かもで詳しくまとめています。
屋外配線を長持ちさせる4つの施工ポイント
配管に通して直射日光と物理ダメージから守る
屋外用ケーブルを使ったうえで、さらに配管(電線管)に収めて保護するのが基本です。ホームセンターでよく見かけるオレンジ色の管はCD管、ベージュや薄いグレーの管はPF管と呼ばれます。合成樹脂製可とう電線管工業会は両者の違いを「PF管には自己消火性がありますが、CD管には自己消火性はありません」と説明しており、そのうえで電気工事の一種である合成樹脂管工事では、CD管は「コンクリート埋設のみの施工に限定されています」としています。
では、LANケーブルのように管の中にケーブルを通す使い方ではどうか。同工業会は「ケーブルをPF管やCD管に収めて露出配管してもよいか」という問いに、「問題ありませんが、自己消火性のあるPF管の使用をお勧めします」と回答しています。つまりCD管が使えないわけではありませんが、屋外の露出区間では自己消火性のあるPF管を選んでおくのが無難ということです。
なお管そのものの屋外での耐久性について、同工業会は「JIS規格等では耐久性について規定はありません。各製造メーカー毎に耐久性能は異なります」としています。屋外に長く出す配管は、製品ごとの仕様を確認して選ぶ必要があります。
建物への引き込み口は「水が伝わらない形」にする
屋外配線でもっともトラブルが起きやすいのが、建物へ入る部分です。壁の穴やサッシの隙間から入れる際、ケーブルが上から下へまっすぐ入っていると、被覆を伝った雨水がそのまま室内側へ流れ込みます。
これを防ぐため、引き込み口の手前でケーブルをいったん下げてU字にたるませ、水が最下点で落ちるようにします。あわせて隙間をシーリング材で確実に塞ぐことが必要です。なお、既存のエアコン配管の穴(スリーブ)を利用できれば、新たに外壁へ穴を開けずに屋外配線を通せるケースもあります。
屋外配線は雷サージの侵入経路になりうる
意外と知られていませんが、建物の外を通るLANケーブルは、近くに落雷があったときに発生する高電圧(雷サージ)の侵入経路になることがあります。屋外を通って別棟へ延びる配線は、母屋側の機器と離れ側の機器の両方を巻き込む可能性があるため、雷が多い地域や高い場所を通す配線では、雷サージ対策に対応した機器の使用や適切な接地(アース)を検討することをおすすめします。接地に関わる部分は電気工事の範囲に入ることがあるため、必要かどうかも含めて施工業者にご相談ください。
たるみと固定のバランスをとる
ケーブルはピンと張らず、適度なたるみをもたせて固定します。ただし、たるませすぎると風であおられて金具に擦れたり、雪の重みがかかったりします。間隔が空きすぎないようサドルなどで支え、無理な力がかからない状態を保つのが理想です。結束バンドをきつく締めすぎると、そこだけ被覆がつぶれて内部の芯線が傷むため、締め込みすぎにも注意が必要です。
屋外のWi-Fiには電波法のルールがある
屋外にWi-Fi機器を設置するとき、多くの方が見落とすのが周波数ごとの利用場所のルールです。5GHz帯のWi-Fiは、屋内であれば自由に使えても、屋外では使えないチャンネルがあります。
総務省電波利用ポータル「無線LANの屋外利用/上空利用について」によると、無線LANが使う周波数帯ごとの屋外利用の可否は次のように整理されています。
▶ 2.4GHz帯
屋内・屋外とも利用できます。離れやガレージへ飛ばす用途では現実的な選択肢です。
▶ 5.2GHz帯(5150〜5250MHz)
屋内は利用可。屋外は条件付きで、専用の機器の使用、総合通信局への「登録局」の手続き、告示で定められた区域内であることなどが必要とされています。家庭用のルーターをそのまま屋外に置いて使える、という意味ではありません。
▶ 5.3GHz帯(5250〜5350MHz)
屋内のみ。屋外での利用はできません。
▶ 5.6GHz帯(5470〜5730MHz)
屋内・屋外とも利用できます。屋外で5GHzを使いたい場合の中心になる帯域です。
なお同ページでは、5.3GHz帯と5.6GHz帯について「DFS機能の具備が必須(屋内・屋外問わず)」とされています。DFSは気象レーダーなどを検知して自動でチャンネルを変える機能で、対応機器であれば自動的に働きます。
また、屋外でスマートフォンをテザリングに使う方は次の点に注意してください。同ページには「モバイルルーターやスマートフォンのテザリング機能については、5.2GHz帯を屋外で利用できません。」と明記されています。庭やガレージでテザリングを使うとき、5GHz側を選んでいるつもりで意図せず該当してしまう可能性があるため、屋外では2.4GHz側を使うのが無難です。
6GHz帯についても、同ページでは屋外での利用は出力の低いVery Low Power(VLP)に限られると整理されています。「新しい規格のルーターだから屋外でも自由に使える」わけではないという点は、屋外Wi-Fiを考えるうえで押さえておきたいところです。
自分でやろうとして失敗しやすい3つのパターン
▶ 屋内用ケーブルをそのまま庭に這わせる
もっとも多い失敗です。最初は問題なく通信できるため成功したように見えますが、紫外線と雨で被覆が傷み、数年後に「急に遅くなった」「雨の日だけ切れる」という形で表面化します。原因が配線だと気づきにくいのも厄介な点です。
▶ 窓のサッシにケーブルを挟む
穴を開けたくないという理由で選ばれがちですが、サッシの気密が保てず、閉めるたびにケーブルが圧迫され、断線の原因になります。防犯上も窓の施錠が不完全になるため、母屋から離れへ常設する屋外配線の方法としては避けるべきです。
▶ 地面に直接ケーブルを置く・浅く埋める
草刈り機で切断する事故が非常に多く、浅く埋めた場合も土中の水分や地中の生き物の影響を受けます。地中を通すなら、地中埋設に対応した管に収めるなど、相応の施工が前提になります。
離れ・ガレージのネット環境は一原ITシステムにご相談ください
一原ITシステムは、東村山市を拠点に、所沢市・清瀬市・東久留米市・西東京市・練馬区・新座市・朝霞市など多摩地域と埼玉県南部で、宅内LAN施工とネット環境の改善を行っています。
離れやガレージへの配線は、建物の構造・既存の配線・使いたい機器によって最適な方法が変わります。屋外へ有線を延ばすのが確実なのか、テレビの同軸を使ったMoCAで穴を開けずに済ませられるのか、そもそも母屋側の機器の位置を見直すだけで改善するのか。現地を確認したうえで、無理のない方法をご提案します。
壁に穴を開けずに配線する方法を得意としているため、賃貸物件にお住まいの方や、建物を傷めたくない方からもご相談をいただいています。施工内容の詳細は宅内LAN施工のページをご覧ください。ご相談やお見積りのご依頼はお問い合わせフォーム、またはお電話・LINEからお気軽にどうぞ。サービス全体についてはトップページもあわせてご覧ください。
出典:総務省電波利用ポータル「無線LANの屋外利用/上空利用について」(https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/index.htm)。本記事では、同ページの内容を要約・編集して紹介しています。




